おめでたい席やお祝い事で、赤飯が出されることがありますね。
ですが、弔事である葬式や法事でも、おこわ・おふかしが出されることがあります。
赤飯のように赤くなく、もち米で炊いた白いご飯を、
白ぶかし
と言います。
この『白ぶかし』は、地域性が強い風習であり、現在では目にする機会も大分減りました。
しかし、地域によっては今も引き継がれ、弔事や仏事の代表的な食事とされてもいます。
そこでこの記事では、弔事・仏事の食事『白ぶかし』について紹介していきます。
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白ぶかしとは|地域での違い、葬儀や法事で食べるもち米お強の白ぶかしについて
弔事や仏事では、お祝い事の赤飯とは反対に、
白ぶかし
を炊く習慣や風習があります。
白ぶかしとは、もち米に白ささげ豆という小豆の一種を混ぜ、蒸かして作ったおこわのことです。
白ささげ豆の『白』と、蒸かすことの『ぶかし』を合わせ、『白ぶかし』と呼ばれています。
『白ぶかし』を食べるようになった理由は諸説ありますが、
生と誕生を意味する赤と反対の白
白は生死感において特別な色
といった意味合いがあるようです。
また、霊柩車もなく、土葬だった時代には
六尺
陸尺
という出棺や埋葬を手伝う人がいました。
『六尺』の作業は力仕事の重労働であり、力をつけるために『お強(おこわ)』を通夜や出棺前に食べていました。
そしてその名残として、『白ぶかし』を配り、食べる風習が残っているとも言われます。
葬儀や法事で振る舞われるおこわは地域によって違う
この『白ぶかし』ですが、主に福島県や宮城県の文化だとも言われています。
そして、地域によって、名前や中身に違いがあり、その地域ごとの特色があるのです。
まず、どの地域でもご飯はもち米で、白い色をしています。
そして、地域によって、
小豆
ささげ豆
白いんげん豆
黒豆
と、入っている豆に違いがあります。
お強の呼び方にも地域の違いがあり、
北海道 ⇨ 黒飯(こくはん)
北陸、金沢 ⇨ みたま
関西、大阪 ⇨ 白蒸し(しろふかし)
京都 ⇨ 白蒸し(しらむし)
などの違いがあります。
また味付けは塩味が一般的ですが、地域によってはしょう油味の『白ぶかし』もあるようです。
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白ぶかしではなく赤飯が出される地域も
地域によって名前や中身が違くとも、弔事や仏事では白いご飯が一般的です。
ですが、地域によっては赤飯を出す地域もあるようです。
その地域では、赤飯の読み方を変えているようで、
お祝い事 ⇨ せきはん
葬式、法事 ⇨ おこわ、豆ごはん
として、冠婚葬祭いずれの場面でも赤飯を出します。
白ぶかしの風習を紹介
最後に、一部の地域の『白ぶかし』の風習を紹介します。
現在も弔事において、『白ぶかし』が欠かせない地域では、葬儀の食事で必ず『白ぶかし』を食べます。
また、火葬中に『白ぶかし』のおにぎりを食べたり、パックに詰めた物を持ち帰ってもらうなど、地域ごとに対応は異なります。
そして昔は親戚が、
行器(ほかい)
という、取っ手と蓋がついた朱塗りの入れ物に『白ぶかし』を入れ、葬式に持って行ったそうです。
また、外居(ほかい)と書かれることもあります。
この行器(ほかい)は、平安時代のころから使われ、食べ物を運ぶ際に用いる木製の容器の事で、多くは曲物(まげもの)で円形、外側に脚が付いています。
黒漆塗や、杉の白木製などがあります。
本来『行器(ほかい)』は、赤飯を入れ、お祝い事で使われるものでした。
冠婚葬祭において、おふかしが特別な存在だったことから、仏事の『白ぶかし』にも用いられるようになったそうです。
まとめ
今回は、弔事・仏事の食事『白ぶかし』について紹介しました。
家族葬が葬儀の支流となり、町内が衰退して、地域の交流が変化した現在。
地域の風習も廃れつつあります。
ですが、冠婚葬祭において、地域ごとに必ず行う風習もあり、その一つに『白ぶかし』という食事文化があります。
お祝い事の赤飯や、弔事・仏事の『白ぶかし』。
日本人は、もち米にその想いを託し、何か事が起こった時には、心を分け合ってきたのです。
喜び哀しみを周りの方と分け合う、日本独自のもち米文化。
葬式や法事の悲しみを分け合う『白ぶかし』の風習は、日本人の優しさが形に現れた文化なのだと言えるでしょう。
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