出棺
納骨(お墓に遺骨を納める)
は、故人との別れを意味する重要なセレモニーです。
ちなみに『出棺』とは、
自宅や霊安室から斎場に向かう
葬儀・告別式後、火葬場に向かう
時に棺を担ぎ、故人の出発を意味します。
『出棺』や『納骨』は、重大なセレモニーであることから、
陸尺
六尺
六道
などと呼ばれる、専門の役割を担う人が昔は必ずいました。
また『陸尺』の風習は、形を変えながら現在も残っていますが、実は茨城県独自の風習とも言われています。
そこでこの記事では、茨城県の葬儀の風習と言われている『陸尺』、その役目の内容や地域ごとの風習まで紹介していきます。
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陸尺(ろくしゃく)六尺・六道とは|茨城県葬儀の出棺・埋葬の役目を担う風習
『陸尺』(ろくしゃく=六尺、六道)と呼ばれる人達の役割は、
出棺時に棺を担ぐ
墓穴を掘る
で、昔『土葬』の時は、葬列を組んだ中に必ずいました。
必ず男性が『陸尺』を担い、
故人の親戚
故人の友人
地元の同年代
の中から『陸尺』が選ばれていました。
故人の知人が『陸尺』を担っていたことから、必然的に年配者が『陸尺』になるため、
既婚者の男性
が『陸尺』を担う決まりの地域もあります
ですが、明確な決まり事としては、男性が『陸尺』を行うという事だけでしょう。
なぜ男性が『陸尺』を担うかというと、『出棺』『埋葬』と長時間死体の近くにいるため、穢れを多く被ると考えられています。
そのため、女性は子宝に恵まれなくなると考えられ、男性のみで『陸尺』を行う訳です。
また、できるだけ既婚者の男性と考えられている理由も、同じ意味合いとなっています。
陸尺の役割と携わる内容
『陸尺』は、茨城県独自の風習ですが、地域によっては『陸尺さん』と呼ばれ、手厚い待遇をされていました。
そんな『陸尺さん』の役割は、
棺を担ぐ
墓穴を掘り故人を埋葬する
というように、死体と長時間に関わります。
現在は火葬が義務付けられており、『土葬』の時代とは違い、
出棺は近親者で行われる
納骨は葬儀社手配や石屋に頼む
となっているため、昔通りの『陸尺さん』の存在は無くなりました。
ですが、棺は男性が担ぐという風習は残っており、現在でも形を変えながら『陸尺』の文化は根付いていると言えるでしょう。
なぜ茨城県では陸尺と呼ばれているのか、その由来は?
『陸尺』は茨城県特有の風習であることから、明確な理由は調べてもほとんど出てきません。
ですが、知られている理由としては、
墓穴を6尺(1.8m)掘っていた
身分の高い人の籠を担いだ人
走り使いに従事した下男
などが『陸尺』の由来だと言われています。
その中でも、『墓穴を6尺掘っていた』というのが認知されており、『陸尺さん』という6の数字から、棺は6人以上で担ぐべきだとも言われています。
名前の由来から考えても、
人がやりたがらない重労働
であることからも、『陸尺さん』が遺族に手厚い待遇をされていた理由は理解できますね。
特に、機械など道具がなかった頃に、縦穴で1.8mの深さの墓穴を掘ることは、想像するだけでも大変な作業だったことが分かります。
茨城県各地での陸尺の風習と待遇、もてなし
最後に、『陸尺さん』の茨城県各地での風習と、『陸尺さん』に対するもてなしを紹介してみましょう。
まず、『陸尺さん』の格好ですが、喪服ではありません。
作業しやすい様に作業着を着て、肩から襷(たすき)を掛け、草鞋(わらじ)や長靴を履きます。
また地域によっては、故人の家族と同様に額紙(三角の白布)を、『陸尺』が頭に付ける所もあるようです。
そして、墓穴を掘り終え、故人を棺と共に『土葬』した後、一番風呂に入ってもらい、酒でもてなします。
『出棺』の時に豆腐を食べたり、結城市の一部では告別式が始まると、『陸尺』が山盛りのご飯を食べる風習がある地域もあるそうです。
また、鉾田市の一部では、数人の男性が『陸尺』として、天蓋(てんがい)や篭を作って、遺骨と共に墓地に持参し、お墓の前に立てるそうです。
茨城県特有の風習である『陸尺』ですが、更に地域ごとに細かな風習があり、現在も形を変えながら受け継がれています。
まとめ
今回は、茨城県の葬儀の風習と言われている『陸尺』、その役目の内容や地域ごとの風習まで紹介しました。
出棺時の棺担ぎ
墓穴を掘る
以上の役目を担う『陸尺』。
葬儀社のスタッフとして『陸尺』の意味や内容は知っていましたが、実は茨城県特有の風習だとは知りませんでした。
現在は土葬ではなく火葬の為、昔ながらの『陸尺さん』はいませんが、地域によって『陸尺』の決まり事が風習として残り、続いている場合もあります。
特に、男性で棺を担ぎ、女性は棺に触れないという決まりは、現在でも当たり前だと言えます。
なかなか目にする機会はないかと思いますが、茨城県特有の風習である『陸尺』文化に関わる事がありましたら、地域の風習としてご理解下さい。
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